料理人と客、磨き合う関西

門上武司、フードコラムニスト

大阪の食の代表である「粉もん」も、

背景にはダシの存在がある。

海外の料理は、美味しい物を食べようとすると

どうしても脂質がついて回る。

ダシなら資質に頼らずに、旨味を引き出せる。

関西の飲食店は、東京に比べ

値段が安くて味が良いのが特徴だ。

安くて美味い店から高い店まで選べる幅が広く、

ジャンルも正統派の和食から

カジュアルな店まで様々で、

関西の食こそ「コト消費」の最たるものだ。

関西には、かつて日本各地で見られた

おすそ分けの精神が残っている。

例えば、店で美味しいつまみが出たら、

隣の席の人に勧めたり、

美味しい店を見つけたら行きつけの店のシェフに

教えたりといった関係が見られる。

シェフから他店の情報を教えて貰い、

シェフは客に聞いた店を訪ねて

料理人と客、客同士の距離が非常に近く、

皆で美味しいモノを食べようという思いが強い。

それが関西の食を育ててきた。

私たち客も気をつけなくてはいけない。

ネットで予約が簡単にできるようになり、

突然のキャンセルが増えている。

店のサービスも、親しい友人にしてもらうような事を

要求する人がいるようだ。

美味しいモノを食べたいと思うあまり、

皆で心地よい時間を過ごすことを

忘れていないだろうか。

客にもルールは存在する。

誰かが「不味かった」と言うと

周囲も、それに引っ張られてしまう。

美味しくなければ、次から利用しなければよいだけで、

その場を楽しく過ごせるように

務めた方が「食べ手」として達人だろう。